不況化でも伸びる受験数

不況で出願数が減ると予想された2010年の中学入試ですが、実際にはほぼ横ばいか微増という結果です。文部科学省が行った平成21年度の小学校の児童数は706万4千人(前年度より5万8千人減少)で,昭和57年から28年連続して減少し過去最低となっています。しかし首都圏では児童数の現象は起こっていません。湾岸地域の大規模開発やタワーマンションなどの増加で、勤務先に近い都内近郊に住宅が増えています。マンションの増加で小学校の不足が心配された江東区では、毎年のように新設校が建てられています。地下の下落に伴い、都心部には人口が戻ってきています。私立小学校の通学圏内の児童数は増えていると考えてもいいでしょう。

ある新聞記事によると、首都圏では5人に一人が中学受験をするそうです。また実際には受験しなかったけれど受験も考えたという回答数も加えると、東京都では約4割の家庭で中学受験を考えたことがあるという調査結果もあります。中学受験が「受験の主戦場」とまで言われる所以です。いまや中学受験は、ごくごく一般的な家庭にも浸透しているのです。中学受験率の増加に一因になっているのが、子ども達の「意識」です。近くに住む小学校二年生の女の子は、学校から帰るなりランドセルを置いてこう言ったそうです。

「お母さん、○○ちゃん受験するんだって。私もしていい?」

まるで映画でも見に行くような気楽さです。
仲の良い友達が受験のための塾に通いだすと、受験しない児童は一人残されてしまいます。

「一人は嫌だから、一緒に塾に通いたい」

そう訴える子どももいるようです。

「あの小学校では、都内受験日の2月1日に、5人しか6年生が出てこなかった」

「あの小学校では、6年生の8割が受験するらしい」

「あの中学校では、約半数が中学受験の残念組らしい」

様々なウワサ話が保護者や児童の間で伝わっていきます。なんとなく中学受験しなくちゃ・・・そう思ってしまう子どももいるのです。そして、もうひとつ中学受験率の増加の一因に、公立中高一貫校の存在があるでしょう。六年間を同じ学校で学べ、学費が安く、試験内容も私立とは異なる公立中高一貫校の出現で、中学入試の敷居が低くなった気がします。公立中高一貫校の動きは全国に広がっています。受験して入学する中学校には、国立、私立、公立とあり、大学まで進学できる付属中学から、大学受験を目指す進学校まで様々あります。選択肢の多彩さも、中学受験が衰えない理由でしょう。